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捻挫・外傷・骨折の初期治療について

捻挫・外傷・創傷・骨折の治療について骨折、靱帯損傷、捻挫(ねんざ)、脱臼、外傷、打撲、切り傷、すり傷、肉離れ、筋肉痛、出血、やけどなど。

Rest(安静)・Icing(冷却)・Compression(圧迫)・Elevation(挙上)

 スポーツ外傷に限らず一般外傷時の応急処置がRICE処置です。これは医療機関を受診する以前に外傷の現場で行う処置であり、外傷治療の第1段階といえます。外傷直後に適切な処置が行われると治癒は促進され、日常生活動作の獲得、スポーツへの復帰も早めることが期待されます。

[Rest(安静)]
 損傷部位の腫脹や血管・神経損傷を防ぐ目的で、患部を安静に保ちます。筋肉や関節の動きを抑えることによって内出血も抑えられます。骨折の場合には、不安定性が高く「グラグラ」と安定しないことも多いために、ギプス固定や装具で固定を行います。骨折部が安定化し動かなくなると、痛みは和らぎます。

[Icing(冷却)]
 2次性の低酸素障害による細胞壊死と腫脹を抑えるため、患部を氷で冷却します。15~20分冷却すると患部の感覚が鈍くなりますから外して、また痛みが出てきたら冷却することを24~72時間繰り返します。シップや冷えピタなどは深部の冷却効果はなく、キズや水泡がある場合は皮膚を覆ってしまうことにより感染源となるので適しません。

[Compression(圧迫)]
 患部の内出血や腫脹を抑えるため、腫脹部位を中心に腫れのない部分までテーピング等を用いて軽い圧迫を加えます。強い圧迫は循環障害をきたすので注意してください。

[Elevation(挙上)]
 腫脹の軽減と早期消退を図るため、患部を挙上します。理想的には患部を心臓より高い位置に挙上することです。内出血や腫脹は筋肉の多い部位では吸収されやすくなります。手足の末梢に広がると吸収は遅れるので、患部をできるだけ高い位置に置くことが重要です。

 整形外科には毎日打撲や捻挫、肉離れ、骨折の患者さんが来院されますが、来院時にこの簡単な処置が行われているケースはほとんどありません。受傷後も運動負荷をかけてしまって腫れと痛みが強くなってしまった、受傷後3~4日たってから腫れや痛みが引かない、と来院されますが、この期間こそが出血や腫脹が悪化する期間なのです。初期の処置が適切に行われればすぐに軽快してしまうような外傷でも、多くの出血や強い腫れが生じてしまうと痛みを感じるのみでなく、治癒は遅れてしまいます。

 一般に筋肉や靭帯の修復は3週間程度かかりますし、骨折は部位や損傷程度にもよりますが完全癒合には海綿骨の多い部位(椎体や踵骨など)で2~4か月、長管骨(大腿骨や上腕骨など)の骨幹部(中央の皮質の厚い部位)で6~12か月の期間が必要になります。もちろんこの期間全く患部を使用できないというわけではなく、筋肉や靭帯は腫脹が早く消退すれば1週間程度でストレッチから始めて徐々に運動負荷をかけることができますし、骨折も仮骨の形成が始まると癒合の進行に伴い骨折部に負荷をかけることにより骨癒合は促進されます。初期の出血と強い腫脹が抑えられれば、外傷部の損傷は最小限に抑えられ血液循環の早期回復をうながし、損傷組織の修復も促進されるので、受傷初期の処置がいかに重要かということになります。その第1段階がRICE処置です。

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