SIRVA(シルバ)
SIRVAとはShoulder Injury Related to Vaccine Administrationの略でワクチン接種後の合併症です。ワクチン接種に関連した肩関節障害と訳され、ワクチン接種後に生じる肩の急性炎症で、肩の痛みや可動域制限(腕が上がらない、腕が後ろに回らない)などが発生します。ワクチン接種後には一時的な免疫反応が発生し、接種部位の腫れや疼痛は出現することはありますが、通常は、2,3日で徐々に改善していくことが通常です。
しかしながら、接種後2週ほどしても肩の症状が改善しない場合には、SIRVAが関与している可能性があります。
症状や病態は、四十肩や五十肩と呼ばれる肩関節周囲炎に近い状態と考えられます。この状態をほおって置くと、肩が上がらなくなってしまう、「凍結肩」という状態になります。
SIRVAの発症機序にはいくつかの説がありますが、筋肉注射の手技により三角筋(肩の筋肉)の深い部位に認める「滑液包」へのワクチンの注入によるものが、原因の一つと考えられています。ワクチン接種から数日経っても安静時に軽減することのない強い肩の痛みが続く場合は、肩関節の超音波検査(エコー)やMRIで、摂取部位の三角筋ではなく、肩関節の滑液包を中心として広範囲に炎症を示す所見があれば、より積極的にSIRVAを疑うことができます。
初期の治療としては、炎症の原因となっている滑液包内への注射を行います。
その他、痛み止めの内服治療、リハビリ訓練などを行います治療が遅れ、経過が長くなると凍結肩を引き起こしたりと、回復が遅れることがありますので、ワクチン接種後1、2週しても肩の痛みが持続している場合には、お早めに整形外科へ受診することをお勧めします。