変形性肘関節症
症状
運動痛
肘を動かすと痛みが強くなり、安静にすると痛みは軽減します。
可動域制限、ロッキング
肘の屈伸の動きが主に制限され、口に手が届かないなどの日常生活動作に支障がでます。ロッキングとは急に屈伸ともにある角度で肘が動かない固まった状態で、少しでも動かそうとすると激痛を生じます。
肘部管症候群
変形性肘関節症が進むと肘内側を走行する尺骨神経が圧迫されて麻痺することがあり、環指の半分と小指の感覚が鈍くなり、手指の動きが不器用になります。
原因と病態
肘関節の酷使(スポーツ、重労働)肘関節内骨折などの肘関節外傷、関節炎などが原因としてあげられます。
病態は、外傷では関節軟骨が摩耗して骨が関節面に露出し、主に内側では過剰な骨の突起(骨棘)ができます。骨棘は出っ張っているため関節の動きを制限します。
さらに進行すると骨棘が折れてかけらとなり、関節内の遊離体となって引っかかり、ロッキングの原因となります。
診断
職業歴、スポーツ外傷の有無、外傷歴、ロッキングのエピソードと前述した症状から、本疾患を疑います。
X線(レントゲン)検査では関節の隙間(関節裂隙)が狭くなり、骨棘形成、橈骨頭の肥大、軟骨下骨の硬化像が認められます。骨棘は鉤状突起と肘頭周囲や腕尺関節内側に多くみられます。関節内にいわゆる“ネズミ”(関節内遊離体)がみられることもあります。CTは骨棘や遊離体の位置・大きさなどを把握するのに有用です。
予防と治療
肘を曲げて、口に手が届き、トイレの始末ができるなど日常生活に支障がなければ、保存療法が行われます。保存療法には、1.三角巾、シーネ・装具を用いた安静・外固定、2.消炎鎮痛剤や関節内に注射をする薬物療法、3.温熱療法・レーザーなどを用いたり、筋力トレーニング・ストレッチングなどの理学療法があります。
日常生活に支障のある場合には、可動域の改善と疼痛の軽減を目的とした手術療法が行われます。これには、直視下で行う方法と関節鏡視下に行う方法とがあります。手術では、骨棘・滑膜の切除と遊離体の摘出術が主に行われます。