薬剤関連顎骨壊死ポジションペーパー2023
[2023.06.09]
先日、日本骨粗鬆症学会雑誌が届き、薬剤関連顎骨壊死ポジションペーパー2023の概要が解説されており、「侵襲的歯科手術時の予防的休薬は推奨しない」ことが改めて提案されました。背景として、抜歯前2〜3ヶ月間の低用量BP(骨粗鬆症治療の骨吸収抑制薬)の休薬でも、顎骨壊死の発症が有意に減少しなかったことや、また、低用量BP休薬による待機期間中に顎骨骨髄炎や顎骨壊死が進行するリスクを考慮してとのことだそうです。
発症頻度について、米国口腔学顔面外科学会(AAOMS)2022では、その発生頻度は骨粗鬆症患者では0.02〜0.05%、抗ランクル抗体製剤では0.5%(半年に1回注射)と報告されており(癌の骨転移などに対する治療では高用量となるため5%未満と高い)ます。日本の調査でも、その発生頻度はo.06%(2015年4月〜2018年12月)と低いものの、日本口腔外科学会による調査によれば、診断基準や、調査方法が異なるものの発生頻度は近年増加傾向とのことです。
顎骨壊死の頻度は少ないものの、発症した場合には治療に難渋することが知られています。予防には口腔内の衛生状態の管理も必要であり、BP剤開始前に歯科受診が望ましいとされ、医歯薬連携のさらなる充実が期待されています。